知財デューデリジェンス(知財DD)は、特許一覧の有無を確かめる作業だけではありません。取得したい事業に対して、使える権利・契約・ノウハウが揃うか、どのリスクを条件へ反映するかを調べます。売り手は確認できた事実と未確認事項を分けて提示します。
目次
まず取引目的と調査範囲を決める
特許単体の取得、研究開発チームの承継、既存製品の拡販では必要な調査が異なります。対象国、製品・工程、取得したい資産、実行日を決め、その範囲に対して知財一覧と契約を対応させます。
確認する6つの領域
- 権利の状態:出願・登録番号、国、権利者、存続、期限、審査や審判の状況。
- 帰属:発明者、職務発明の規程と運用、委託・共同研究、過去の譲渡書類。
- 事業との対応:請求項と製品・工程の対応、使っていない権利、代替技術。
- 契約:共有、ライセンス、担保、譲渡制限、支配権変更時の条件。
- 第三者との関係:警告、訴訟、無効審判、調査履歴。対象特許の確認とFTO調査は区別します。
- 移管:秘密情報、技術者、データ、ソースコード、設備、移行支援。
質問と回答を追跡できる形にする
資料ごとに管理番号、版、作成日、責任者を付けます。質問には回答だけでなく根拠資料、未確認点、確認予定日を記載します。「問題なし」という一言で終わらせず、どの範囲を誰が調べたのかを記録します。
調査結果を契約と引継ぎへつなげる
問題が見つかった場合は、実行前に解消するもの、価格・補償条件で扱うもの、実行後の移行計画で扱うものを分けます。解消可能性が分からない重要事項は、候補先と専門家へ早く共有します。
開示はNDAの締結だけで一律に広げず、閲覧者、利用目的、複製、持出し、交渉終了時の返却・削除まで管理します。特許庁IP BASEの標準手順書は、取引の段階とDDの進め方を整理する際の参考になります。
